TITLE:

Muellerさんのパキベ
101010_142329_ed.jpg

【左のパキベ】

『フライド』というひどいカタカナで売られてたりするモノ。
これは輸入されたときは Pachyphytum ‘Friede’で、発音的にはフリーデ。
ドイツ語で平和。
タンヤオではなくピンフ。

Pachyveria List M-Y
http://crassulaceae.net/index.php?option=com_content&view=article&id=483

×Pachyveria ‘Mulleri’の項をご覧くだせぇ(色々面倒なんでウムラウトは無視して書きます)。

--------------
Jacobsen, A Handbook of Succulent Plants, 1960, p. 720:
“×Pachyveria mulleri Jacobs. (Fig. 958) ( ×Pachyveria hybrida Hort. Pfitzer). - A hybrid, grown by W. Muller in the Garden of Pfitzer at Stuttgart: Pachyphytum oviferum J. A. Purp. × Echeveria derenbergii J.A. Purp. - Rosettes not very densely leafy, about 10 cm. in dia.; L. 4,5 cm long, in the upper part 15 - 17 mm. broad, 1 cm. thick, at the end with a little mucro, upper surface flat to somewhat concave, back surface very convex, blue-green, somewhat pruinose.”

“ Note: Pachyphytum ‘Friede’, described by J. van Keppel in Succulenta 1974, Nr. 10, is the same plant! What means that there is no P. ‘Friede’
! ”
--------------

Stuttgart の Garden of Pfitzer にいた W. Muller さんが作出。
Pachyphytum oviferum × Echeveria derenbergii
ロゼットはそんな密ではなくて直系10cm、葉っぱは長さ4.5cm・丈夫の幅は15〜17mmで厚さ1cm。
葉先にほんの少し突起があって、上面は平らでやや凹面気味、裏側はすごく凸面、ブルーグリーンの葉でやや粉を吹く。

Note; ケッペルさんが P. ‘Friede’で記載したモノと×P. ‘Mulleri’が同じモノなんで P. ‘Friede’はアカン!

ってなこと書いてます。
Pachyphytum oviferum × Echeveria derenbergii
これは違和感。

次にその下の×Pachyveria ‘Pfitzeri’の項を。

--------------
Jacobsen, A Handbook of Succulent Plants, 1960, p. 720:
“×Pachyveria pfitzeri W. Mueller (Fig. 959). - A hybrid, grown in the garden of Pfitzer in Stuttgart: Pachyphytum oviferum J. A. Purp. × Echeveria elegans Rose. - Rosette densely leafy, about 17 cm in diam.; L. 6cm. long, as white as alabaster; I. similar to those of Pachyphytum, growing to one side. - Valued as rosette-plant for commercial purposes.”
--------------

W. Muller さん作出。
Pachyphytum oviferum × Echeveria elegans
葉っぱはとても密で、直系17cm、葉っぱの長さ6cmで雪花石膏のように白い。
これはパキフィツムの1側面に似ている。
商業目的としても高く評価されたロゼット植物。

たぶんこっちが‘Friede’で出てるモノなのでは?
ただ色の表現がなぁ・・・。

http://crassulaceae.net/forum/viewtopic.php?id=504

ここの1枚目の画像と×Pachyveria ‘Pfitzeri’の項の2枚目の画像が同じに見えるし、葉っぱ平らになるのは E. derenbergii より E. elegans だと思うんで‘Friede’→‘Pfitzeri’だと思う!
花も花茎長くて1列で黄色+ピンクなんで E. elegans が掛かってる雰囲気。

【右のヤツ】

右のヤツは『ぐらぷとぺたるむ・るずびぃ』とかいう論ずるに値しないラベルで流通しているモノ。
とりあえずそれは置いておいて、×Pachyveria ‘Mulleri’( P. oviferum × E. derenbergii )はどれじゃろ?ということなんですよ。

Pachyveria List A-L
http://crassulaceae.net/xpachyveriamenu/87-list-cultivars/482-xpachyveria-list-a-to-l-engl#calypso

ここの×Pachyveria ‘Calypso’を見て戴きたい。
これが非常に P. oviferum × E. derenbergii っぽい顔。
葉っぱいっぱい付いて、ちょい茎立ちして葉先にツン、短い花茎に大きめの花で花弁の外側は濃いめの赤系。
‘Calypso’という名前は「‘Elaine Reinelt’とか ‘Debbi Reinelt’とか紛らわしい名前で出てるから ‘Calypso’に名前変えました」というアレ。
‘Elaine Reinelt’、‘Debbi Reinelt’ともに有効そうな資料が残ってないんで誰かがテキトーに付けたくさい。
それを‘Calypso’に統一、改めたということ。
なので‘Mulleri’の可能性も十分にある!と思う!

ちなみにこの‘Calypso’、日本では何故かアイリンラインワルティで流通している。

https://1911.up.seesaa.net/image/1911-2010-03-13T16:40:14-1.jpg
左:ルズビィ、右:アイリンラインワルティ

花も完全一致。
たぶん Elaine Reinelt のクソ読みでアイリンラインワルティになった、としか説明がつかない。

面倒なことに『ルズビィ』と‘Calypso’がかなり似た植物であるってこと。
完全に同じモノではないけど特徴的にはほとんど同じ。
『ルズビィ』のがやや丸っこい(正直交配種としての完成度はカリプソのが高いと思う)。
これが枝代わりなのか、実生の兄弟苗なのかは不明。
大株の『ルズビィ』のを見たことがないんでなんとも。
こころ・ローラ・デレンケアナみたいなもん?
花はパキベリアだったけど‘Calypso’と同じかはわからん。

http://www.flickr.com/photos/manue64/4457250925/

ここのカリプソとか『ルズビィ』っぽかったりしない?

***

まとめ

◆‘Friede’
そのうち無効になる見通し。
ICNでは×Pachyveria ‘Mulleri’( P. oviferum × E. derenbergii )としている
けど個人的には×Pacyveria ‘Pfitzeri’( P. oviferum × E. elegans )の間違いだと思う。

◆アイリンラインワルティ
暫定×Pachyveria ‘Calypso’(出版されているので完全に有効)。
アイリンラベルは捨ててヨシ。
個人的にはこっちが×Pachyveria ‘Mulleri’の予感。

◆グラプトペタルム・ルズビィ
ぐうの音も出ない程のクソラベル。
ラベルはどうするか微妙なところ。
まずグラプトペタルムはペケ。
ルスビィの部分も残すのはNOTオススメ。
[ ×Pachyveria cv. ex ルズビィ(笑) ] くらいしか書きようがないかな?
これなら「ルズビィで出てるパキベの何か。」で一応間違ってないだろー。
[cf. ‘Calypso’,‘Mulleri’]か?
メンドクサ。

*

×Pachyveria ‘White Nun’
Origin unknown
Parentage : Echeveria derenbergii × Pachyphytum sp. ?
Listed in Johnson’s catalogue 1954.

一応こんなんも文章だけ残ってる。
もしやのルズビィ?

http://www.roraimanursery.com.au/sales/index.php?act=viewProd&productId=38923

これかー?
ロライマの属名はクソいい加減なんで問題は‘White Nun’というラベルが刺さっていたかどうか。
まぁ見た目はそれっぽい。
でもロライマ全体的にクソだしなぁ。

--

パキベリアも上手く組み合わせればまだまだ面白いモノ出来るじゃろね。
失敗するとカス雑種だろうけど月美人×ラウイとかならかなり安牌な感じ。
雪見大福。
パキセダムも面白いかな?
アメチス×月美人の紛らわしさハンパない雑種とかもどうですか?
要りませんかそうですか。

Comments

  • ぢぇがむ(deagamn)

    はじめまして。時折読ませて頂いております。
    実は先日も某公園でお見掛けしちゃったりしてはいるんですが、それはさておき。
    アイリンラインワルティの「ラインワルティ」て、本来のReineltと(ハオルチアで出て来る)Reinwardtとを混同しちゃった結果かも知れませんね。
    ライネルトとラインワルト、似てるっちゃ似てますw
    reinwardtii系のハオルチアは多肉屋さんなら転がってるだろうし。
    2010年10月27日
  • ふじさん

    ウムラウト表記が面倒な時は'Muelleri'と書いたりしますー
    2010年10月27日
  • 1911

    > ぢぇがむ(deagamn)さん

    どもです。
    その辺は1年くらい前に書いたんですがアイリンの部分からして Elaine Reinelt がおかしくなったんだと思います。
    2010年10月29日
  • 1911

    > ふじさん

    そんなワケでタイトルだけEつけてます。
    でもなんか字ヅラ的にMuellerってモヤっとしますよね。
    誤字っぽく見えて。
    2010年10月29日

この記事へのトラックバック