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SPノバはツルギダじゃないだろうか
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コレは春撮影の「静夜の薔薇」。

https://1911.up.seesaa.net/image/1911-2009-05-05T20:40:28-1.jpg
「野ばらの精」の花。

「野ばらの精」→ザラゴーサ(SP)ノバ x 静夜
「静夜の薔薇」→静夜 x ザラゴーサ(SP)ノバ
という話。

株からはそんなピンと来ないけど花は確かに違う感じ。
花ビラの切れ込みとかガクの雰囲気が鋭角な雰囲気。
「野ばらの精」ほど E. derenbergii っぽさを感じない花。
葉っぱも「野ばらの精」に比べると細長くなるみたい。
「野ばらの精」も個体差なのか環境差なのか葉幅が違って見えることが多いんでアレだけど。
キッチリ比較栽培すればもう少し違いは見えてくるんじゃないかと思いますよ。
同じもんではないかなと。
「赤爪ザラゴーサ」とかで出てるモノは「野ばらの精」とほぼ同じ花咲くよ。
純粋な E. cuspidata v. zaragozae じゃない E. derenbergii の交雑種だよ(というか E. cuspidata v. zaragozae 関係ないと思う。後述。)。

Echeveria cuspidata 一覧
http://www.crassulaceae.com/botanik/pflanzen/botanzeige_scan_en.asp?gnr=1610&scan=120800-1&cat=1&name=Echeveria

「黒爪ザラゴーサ」、「メキシケンシス」、「長葉ザラゴーサ」で売ってるのはかなり E. cuspidata v. zaragozae っぽい花が咲く(E. derenbergii との雑種には全然見えない)。
E. cuspidata v. zaragozae と断言しにくいのは E. cuspidata v. gemmula の可能性を捨てるのはちょっと早い気がするから。
上のリンクの1枚目の画像の上段真中の個体とか E. cuspidata v. gemmula だけど国内で「メキシケンシス」「長葉ザラゴーサ」とかで売ってるのとちょっと似てるのよ。

Echeveria cuspidata var. zaragozae
http://www.crassulaceae.com/botanik/pflanzen/botspezies_seite_en.asp?main=120803&menu=1&bgt=cm&genus=ECHEVERIA&gnr=1610

Echeveria cuspidata var. gemmula
http://www.crassulaceae.com/botanik/pflanzen/botspezies_seite_en.asp?main=120802&menu=1&bgt=cm&genus=ECHEVERIA&gnr=1610

個体によっては見分けつかん感じ。
単純に「 v. gemmula は v. zaragozae よりトゲが細いヤツ」とは限らんっぽいので慎重にいきたいところ。

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それは今回の本題ではないんですよ。
「野ばらの精」、「静夜の薔薇」の片親の「ザラゴーサSPノバ」とかいうヤツのこと。
未だに学名がないとも思えないし E. cuspidata v. zaragozae とは全然似てない。
色も青緑系だし。
アクが強くて雑種っぽくもない。

http://www.google.com/search?hl=ja&oe=sjis&q=%22%E3%82%B6%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%83%BC%E3%82%B5%EF%BC%B3%EF%BC%B0%E3%83%8E%E3%83%90%22&um=1&ie=UTF-8&tbm=isch&source=og&sa=N&tab=wi

お、花の画像も出てくる。
最近流通するようになったのは殆どクローンだと思うけど栽培環境で結構顔が変わってくるみたい。
花も E. cuspidata v. zaragozae とは似てない。
E. cuspidata はキツめの赤紫系( v. zaragozae 、 v. gemmula はチップが黄色くなったり)って感じだけど「ザラゴーサSPノバ」はピンク〜オレンジ系。
こりゃあきっと「ザラゴーサSPノバ」ラベル自体怪しい。
産地としてもアテにしないで全くないものとして考えたほうがいい。

そんで調べてみるとどうも「ザラゴーサSPノバ」は E. turgida の細葉の個体のじゃないかと思う。

Echeveria turgida
http://www.crassulaceae.com/botanik/pflanzen/botspezies_seite_en.asp?main=123430&menu=1&bgt=cm&genus=ECHEVERIA&gnr=1610

トップの画像と下段7枚目の画像の細葉の個体。
コレもかなり近い。
青緑系の内向する葉っぱ・トゲ、花、仔吹きの具合・・・似てる。
こっちは現地の画像でクローンってワケじゃないからドンピシャ完全ピッタンコカンカンってワケにはいかんけど。

Echeveria Listings T/U/V/W/X
http://crassulaceae.net/echeveriamenu/93-list-species/214-echeveria-listings-t-u-v-w-x-uk

爪がかなりボケてるし画像汚いけどなんとなく伝わるかな?
「ザラゴーサSPノバ」も死にかけにすればこんな感じになると思う。

http://www.crassulaceae.com/botanik/pflanzen/botanzeige_scan_en.asp?gnr=1610&scan=123430-1&cat=8&name=Echeveria

↑のモノクロ画像も個人的には「あーなるほどハイハイ」って感じ。
葉先に爪があって、こう・・・ね。
説明文もだいたい一致。
残念ながら海外サイト探してもこれくらいしか画像は見つからない。
この画像が鮮明なカラー写真ならかなり「ザラゴーサSPノバ」っぽいと思うんよ。

というか勝手にリンクしたり画像転載すると嫌がる人もいるからしないけどネット中から「ザラゴーサSPノバ」の画像集めて睨めっこするとドンピシャに近いのもある。
ベンケイソウは季節の影響もさることながらあまり辛くしたり丁寧に作りすぎると見えなくなっちまう特徴もあるのよね。
海外の写真そこまでキレイキレイに栽培してないし。
「ザラゴーサSPノバ」なんてエケベリアにしてはそこそこ値段もするほうだし。
どうも丁寧に栽培してるとトゲのニュアンスも違って(太く大きく)見えちまうような感じ。
「ザラゴーサSPノバ」の正体が気になる人とかホントかいなって人は是非「ザラゴーサSPノバ」画像収集して E. turgida と比べてみてください。
少なくとも E. cuspidata v. zaragozae よりは E. turgida のほうが全然近いよ。

E. turgida の花は基本的に分岐・枝分かれ(branch)しないらしいんだけど某さんとこの「SPノバ」の花茎は2股になって咲いてる。
これは真っ二つな感じに2股で、分岐・枝分かれというよりもY字で split って感じなので何かの拍子にイレギュラーが起こったんじゃないかと思う。
他にも開花前くらいの画像を2枚ほど持ってるんだけどそっちは全然分岐してない。
ダメ押しにもう少し開花画像探すなり現物を観察してみたいところ。

※何度か書いてるような気がするけど国内で「エケベリア ツルギダ」で売ってるのは E. turgida じゃない雑種。
海外でも似たようなアレが起きてるみたいなんで輸入先の時点で間違えてるっぽい?
http://crassulaceae.net/echeveriamenu/45-hybrids/558-echeveria-glory-engl
思い切り E. purpusorum 系だけどもしかして E. turgida 実生しようとしたけど E. purpusorum の花粉がついてたからこんなアレになってるとか?

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他に国内にある E. turgida と思われるヤツの話。
「エケベリア シエラ」とかそんなラベルで最近出回りだしたヤツがある。
パッと見 E. secundaE. minima あたりの雑種か何かですか?みたいな感じのヤツ。
栽培品種名なのか何なのかって表記なんだけど「シエラ」ってのは恐らく栽培品種名ではなくて産地が Sierra 的なことなんだろう(だったんだろう)。
他にも明らかに産地名なのにそんな感じになってるヤツが同じとこから出てるし。
Sierra ってのは山脈、とかそんな意味なので産地名としての情報は消し飛んでる。
見た目もこじんまり系の群生ロゼットで山脈って感じでもないしやっぱ栽培品種名ではないだろう。
もしかしたら最初は「 Sierra ナントカ」みたいな感じだったのが誰かに手抜きされていつの間にか Sierra だけになっちまったんじゃないかと思う。
産地名と品種名をゴッチャにしてしまうと原種としての価値を損ねることになる。
そのまま「シエラ x ○○」とか交配に使われたりするとこれまた後々色々とアレな
ことになったり(例えばブルーシエラとかそんな名前が付けられて親が明かされない
とか)もして・・・その辺はまぁいいや。
そんでまぁここからが重要なんだけどその「シエラ」ってのがかなり E. turgida っぽい。
『The Genus Echeveria』 の P283 の個体。
コレも色々とアレで画像は載せれないけど「クローンか?」ってくらい同じになる。
仔吹きの仕方とかも同じ。
なので「シエラ」をゲッツしてきて「ザラゴーサSPノバ」の花と比べたりするのも楽しいんじゃないかと思います。
『The Genus Echeveria』が合ってればのアレだけど。
この本も幾つか間違いが指摘されてる。

あと国内で E. turgida で輸入された種子の実生がチラッと売ってる。
これは明るいグリーンっぽい色で葉幅がそれなりにあって薄い感じ。
フチは赤くてトゲも出てきそう、っていう「こんな個体があっても全然おかしくないな」って感じ確かにでツルギってる。
これも比較栽培すると楽しそう。

E. turgida ってのはセクンダみたいなヤツからムキっとしたの、葉っぱ細いの、色々あってオモロイね。
まあどの種(すぴーしーず)でも結構そうなんだけど。
単純な見た目とかでなくもうちょっと本質的なとこで見分けるようにしないと。

ついでに Koehres の E. turgida
http://www.koehres-kaktus.de/shop/images/Bildergallerie/koehres-kaktus-Bilder/Sukkulenten/Echeveria%20turgida.Paila.-.01.jpg
http://www.koehres-kaktus.de/shop/images/Bildergallerie/koehres-kaktus-Bilder/Sukkulenten/Echeveria%20turgida.Paila.-.02.jpg
・・・これは流石に怪しいような。
株は E. cuspidata っぽいけど花はかなりリラシナっぽい・・・。
どうなんだコレ?
ちなみにコーレスリラキナ。
http://www.koehres-kaktus.de/shop/images/Bildergallerie/koehres-kaktus-Bilder/Sukkulenten/Echeveria%20lilacina.-.-.03.jpg

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E. turgida 自体がアレなせいで随分長くなっちまったけどもうちょっとだけ続くんじゃよ。
「ザラゴーサSPノバ」= E. turgida とした場合の根岸交配種の視点。

「野ばらの精」は静夜(これは流石に花とかから E. derenbergii で間違いナシ)と E. turgida の交配ってことになる。
E. cuspidata v. zaragozae に似てるのは偶然の一致か。
超短い葉っぱで白いエケベな E. derenbergii に葉っぱが細長くてトゲの強いのを掛けた、って考えればわからんでもない。
花をよく比べれば E. cuspidata v. zaragozae x derenbergii よりは E. turgida x derenbergii の花って感じになると思う。
E. cuspidata v. zaragozae が掛かってるならもうちょっとズングリな花しててもええと思う。
「静夜の薔薇」なんかはシルエットは結構 E. turgida っぽいシルエットが受け継がれてる。
花の色も E. cuspidata の赤紫よりは E. turgida の細長オレンジピンクを引き継いでるっぽいしなぁ。
「花の薔薇」、「錦晃の薔薇」、「月迫の薔薇」なんかは結構 E. turgida 的な感じ。
親不明になっててニコイチネーミングじゃない「雪影」だか「雪雛」はかなーり E. turgida の面影が見える。
まんま白くした E. turgida って感じで一見の価値あり。
見た目的に「月迫の薔薇」の逆の交配とかそんな感じかな?

「ギルバの薔薇」とか「セドゴーサ」とか「沙羅姫牡丹」なんかは E. cuspidata v. zaragozae の雑種ぽく見えるから困る。
実際に栽培したことないし兄弟苗のバラつきとかどういう選抜したとかわからんからアレだけど。
そうえいばなんか某店で「月迫の薔薇」の花粉親が「 SP No.5 」って書いてあった。
ネーミングからすれば「ザラゴーサSPノバ」の交配であるのは間違いないワケで。
ってことは根岸さんが持ってた「ザラゴーサSPノバ」は少なくとも5個はあった?
それぞれ別物に見えるからナンバーを振ったのか、単に個体数を管理してたのか・・・。
もしかして「ザラゴーサSPノバ」として根岸さんが入手したモノの中に E. cuspidata v. zaragozaeE. turgida が混在していたとか?
こりゃもうわからんな。

最近はさらに「ザラゴーサ交配」みたいのが出回ってきてるけど「野ばらの精」を使ったモノなら E. cuspidata v. zaragozae は関係ないんで長期的に見るとちょっとマズいラベルかも。
こういうのがあるから個人的には素性がよくわからんヤツは交配に使いたくないんだよなぁ。

とりあえず少なくとも「ザラゴーサSPノバ」で流通してる青緑+薄っすら赤くなる葉っぱが細長くて内向してトゲってるヤツに関しては E. turgida だと思うよ。
海外でも見かけないし日本で E. turgida の古い個体が生き残ってたってことになるとなかなか熱い。
原種に詳しいOさんにも機会があればご意見を伺ってみたいところ。

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あああ・・・中日負けてしもた。
最後にデレデレモードの落合観たかったのに。

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