Echeveria "Lau-lindsay"
( E. colorata ‘Lindsayana’ x laui , Japanese cultivar, unpublished/unestablished prob.)
コッテリ用土+5号鉢にしたら間延びしたままになってしまいましたよ。
去年は肥料たっぷり路線の実験を兼ねていたんですがさすがにこのサイズの鉢なら土はもっと辛くしておくべきだった。
ニコイチというと「ポンコツ2つから部品取りをして1つの正常個体を作ること」という意味が強いですが、合成語・混成語だとちょっとピンと来難いんでニコイチ名と呼びます。
breakfast と lunch で blunch とかそんなヤツです。
こんな感じの命名は業界を超えて伝統的に非常に多いです。
ライガー(ライオン+タイガー)
タイゴン(タイガー+ライオン)
レオポン(レオパード+ライオン)
動物の雑種ではこんな感じ。
多肉でも
xGraptoveria ‘Amethorum’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=113&x270_id=155&x270_listsearch=1
E. purpusorum x G. amethystinum
Echeveria ‘Pulv-oliver’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=113&x270_id=493&x270_listsearch=1
E. pulvinata x Oliveranthus elegans (now, E. harmsii )
Echeveria ‘Set-oliver’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=113&x270_id=968&x270_listsearch=1
E. setosa x Oliveranthus elegans
Echeveria ‘Deren-oliver’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=113&x270_id=486&x270_listsearch=1
Oliveranthus elegans x E. derenbergii
Echeveria ‘Pulvi-carn’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=113&x270_id=877&x270_listsearch=1
E. pulvinata x carnicolor
Echeveria ‘Pulvi-set’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=113&x270_id=879&x270_listsearch=1
E. pulvinata x setosa
Echeveria ‘Spruce-oliver’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=113&x270_id=1004&x270_listsearch=1
E. quitensis var. sprucei x Oliveranthus elegans
などなど。
(ハイフン後は小文字になるはずなんだけど例外が認められるんだろか?改正でもあったのかな?ICN は種子親・花粉親テンコシャンコっぽいときもあるような)
日本産でも"ラウリンゼ"とか。
根岸交配の命名も基本的には両親の名前の一部を組み合わせてたものが多いです。
ニコイチ名は架空の造語という面はそれなりに持ち合わせていますが、これはあくまで親の名前を2つくっつけているだけなので組合わせを略記で示しているのか品種名そのものなのか分かり難いという面もあります。
品種名というのは組み合わせではなく、外観・形態的特徴に基づいて命名されるという前提を考えればやはり好ましくはない。
(同じ組合せなら同じ植物になるとか同じ名前になると考えている人もたまにいますがそれは間違いです)
同一の組み合わせの他品種との混同等にも繋がります。
重複名(異物同名/later homonym)や類似名(混同危惧名/parahomonym)にもなりやすい。
また、語呂の都合で花粉親が先に来てたりする場合もややこしいです。
規約違反はしてないものの、品種の数が多くなってくると不都合が出て来易い。
ハオルシアではよくある組み合わせ、"コンプトコレクタ" とか "スプリンプト" は個体名ではなく Group というよりも、もはやジャンルに近い概念になってます。
これらのニコイチ名はハオルシアでは正式な品種名がつくまでの暫定名として扱われるそうです。
また、そのまんまくっつけると語尾がラテン語形になってしまうケースも多くなります。
上に挙げた例なら ‘Amethorum’が -orum 。
近年出回り出したエケベリアの "ラウレンシス" とかもそうです。
【エケベリア ラウレンシス】とか書いてあったら普通は「-ensis だしラウなんとかっていう地名がついた原種なんだろうな」と受け取るのが普通です。
でもそんな種はなく、名前や外観からすると E. laui と E. chihuahuaensis 辺りで交配したものと推測できるのでそういう由来・命名の植物なんでしょう。
以前から疑問視していたんで質問してみたんですが、専門家の方によると「明文化こそないが、品種名にラテン語が禁止されていることや規約の目的を考えれば当然排除されるべき」とのことなのでこういう命名もやはりやめるべきです。
特に -ensis -ense というのは地名に由来したときとかに使われる語尾で、地名は把握するのが難しいので極力やめるべきです。
EUに渡ったりした場合、無効名と判断されて再命名されたり二重命名(double nomenclature)になる可能性が極めて高いので混乱の元です。
また主に韓国経由だと思いますが天体関連から品種名を取るケースが多くなっています。(出版・発表は置いておいて)
Sirius などは現代の一般名詞と十分言えそうですが Monocerotis とかになってくると英和辞典にも出てこないしかなりグレーな感じです。
人によってはアウト判定と感じるような単語も出来ればやめたほうが良いです。
天体はまんまラテン語だし、またカブり易いモチーフなので重複名を考慮するなら回避するほうがベターです。
神話関係も似たような感じ。
「親株が分かるような名前は確かに便利でもあるが配慮すべき事柄も多い」、という感じです。
信用出来ない名前で流通している株も多いし、その名前を継承させることになったりする可能性も考えると尚更です。
自慢の作品なら適格な名前を考案し、キチンと発表/出版してその品種名を保護してやるべきではないでしょうか。
根岸交配に話を戻すなら、独自性強めで問題無いものもあれば思い切りアウトなのもあります。
どれがアウトかエケベリア栽培している人全員がすぐに見当をつけられるくらいだと良いんですけどね・・・。
最近はクローンで増やされた個体だけでなく、産地名までついた原種の種子を実生した苗が流通することも多くなりました。
そのせいか産地名と品種名を混同するような手抜き(?)な表記が目立ってきました。(中には種小名まで)
「エケベリア エンシノ」とか書かれるとワケがわからないので止めるべきです。
実際に同列に扱うような人も出てきています。
【ECHEVERIA sp El Encino, Hidalgo】(Koehres 丸写し)とか【Echeveria sp. ――El Encino, Hidalgo ex Koehres】 とかキチンと表記するべきです。
仮名や漢字で表記する際も品種名なら‘シングルクォーテーション’で括るべきでしょう。
中には省略され過ぎて意味消失しているものもあります。
「エケベリア シエラ」とか表記されているのがそうで、 Sierra というのは「山」という意味しかないです。(なので品種名とも考え難い)
Sierra ○○ (Mt. ○○) のような産地の表記だったものの、「肝心の山の名前がない」というような状況です。
産地名は分類上でも重要や情報で、品種名とは全く性質が違います。
品種名に産地名を使うことは禁止されていますので、エンシノ(El Encino, Hidalgo)とかといった産地名に、もう片方の親の名前を組み合わせるような名前もやめておくべきでしょう。
Echeveria diffractens ――Palma Sola が "E. ‘パルメソラ’" とか E. unguiculata ――Miquihuana が "エケベリア ‘ミクイアナ’"みたいになってしまったのも似たような理由だと思うんで本来の価値を損なわせないように表記するべきです。
「ミクイアナって E. unguiculata のことじゃないか!」と憤ったことがある愛好家なら分かると思います。
ハオルシアの場合は原種なら学名よりナンバーや産地のほうがよっぽど重要だということが知られているんで、まあ大丈夫ですかね。
当然、他のどんな植物も似たような具合になると思います。
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