Aeonium arboreum ‘Albovariegatum’
まだまだ休眠明け。
割りと丈夫ですがちゃんと植え替えないと細くなってしまう。
Aeonium arboreum ‘Albovariegatum’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=10096&x270_id=3102
日本で言うところの『艶日傘』。
なんと最古の記録は1770年!
"Established as cultivar by B.K.Boom in Succulenta 38(6): 85. 1959."
と書かれていますが、これは1959年に B.K.Boom さんが Succulenta 誌(38号だか6月号だかの85Pとか)で cultivar として establish したということです。
この established というのは単純に和訳して「確立された〜」とかではなく、「国際栽培植物命名規約 (ICNCP) における "establish publication" が出版物掲載により為された」という風に受け取るべきではないかと思います。
つまり ‘Albovariegatum’ は要件を満たした確立発表/正式発表(establish publication)がされているので品種(cultivar)として確立/成立しているということが書いてあるワケです。
Aeonium arboreum ‘Albovariegatum’ という名前は保存されて品種の歴史の一部に残った・・・とかそんな感じです。
こんな感じの作業が1770年とかから続いてきていて、「規約の則った正名 = accepted name」があるワケです。
(昔は野生種での学名と園芸品種での品種名が区別されてなかったんで園芸品種にもラテン語で名前がついてたり、現在では‘シングルクォーテーション’で区別することが決まっている。)
EUなんかではこういう規約に則った名前の管理・参照をすることで品種の混乱を抑制しようとしています。
新しく作られた品種も同様。
品種名は学名の応用・発展形でキッチリとしたものということですね。
発表/出版の大切さがなんとなく伝わったんじゃないかなと思います。
もう少し用語とか根本的なところから説明したいですが、色々と歩調を合わせないといけないんでまたそのうち。
『艶日傘』という名前厳密には‘Albovariegatum’への2重命名ということになります。
本来正当な名前(正名)がある植物に別の名前を付けてしまっているということです。
根本的な規約違反。
1959年より早く cultivar として establish publication されてるとも思えないので Aeonium ‘Tsuyahigasa’ とかにはならないでしょう。
2重命名というより 「‘Albovariegatum’に対応している日本での販売名・通称名・いわゆる和名」くらいのほうが一般的な認識ですが、「正名はあくまでも Aeonium arboreum ‘Albovariegatum’ である」ということは忘れてはいけないことです。
これが抜け落ちると結局2重命名と何も変わらないです。
(推奨はされていませんが販売名(trade designation)として『艶日傘』という名前を使う場合、正名が併記されていなければならない)
こんな感じで「正しい名前」というのを判断していったりします。
正名とセットで収集してこそコレクションと言えるんではないでしょうか。
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Aeonium arboreum ‘Luteovariegatum’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=10096&x270_id=3103
‘Albovariegatum’ との違いは正直よく分からないです。
名前からすると‘Albovariegatum’が白斑で、‘Luteovariegatum’が黄斑。
『艶日傘』も色んなところで見てきましたが、白っぽいのもあれば黄色っぽく見えるものも。
うちのも栽培していると黄色っぽくなったり白っぽくなったり。
黄色というよりは象牙・クリーム色でどちらかと言えば白に近いのと、その他の資料を見ても『艶日傘』は‘Albovariegatum’の可能性のほうが高いようには思います。
Aeonium arboreum ‘Zwartkop’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=10096&x270_id=3090
同様に『黒法師』の正名。
全部真っ黒になるヤツ。
Aeonium arboreum ‘Atropurpureum’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=10096&x270_id=3101
真っ黒になりきらないのは黒さの程度に拘らずだいたいコレ。
中心が緑のとか紫っぽいのとか茶色っぽいのとか。
あんま使わないけど『闇夜傘』なんて通俗名も昔からある。
茶色のは日当たりのヌルい『黒法師』ではなくて、‘Atropurpureum’だから茶色。
黒いタンニン色素は斑みたいに抜けたりするので、最終的には真緑のヤツに先祖返りしてしまう。
同じ株から茶色と緑の枝が出たりする。
葉緑素の量とかが違うんでロゼットの形がそれぞれ微妙に異なるけど葉先の形を見ると大元は同じ植物なのがわかる。
純粋に A. arboreum のセレクトかと言うと微妙だったり古すぎてよく分からないです。
http://1911.seesaa.net/article/221035084.html
とりあえず「出版済みの正名っていうのを使うのが良いんだな」とか思ってもらえれば。
また、出版されていない=未発表の植物が増えすぎるとどうなるか・・・という具合です。
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