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ハオルシア品種名総覧 1/2
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まず、この本は図鑑や写真集のような内容を期待している人向きの内容ではないです。
(冒頭と表紙には最近の品種が50個体掲載・記載発表されてはいます。Haworthia ‘Azumi’ / ‘安曇’がカッコイイ!)
写真は無く、品種名そのもの名前のリストが大部分を占めています。
「品種名」という概念についても解説されているので、その辺りに関心のある方にも有用で読み応えのある資料になっていると思います。
分類面や園芸面でのハオルシア史も載っていてこの辺も楽しめました。



品種名を整理することによるメリットは最終的には『消費者・愛好者全員』に波及してきます。


『別々の名前で買ってきたのに育てているうちに同じものになってしまった』
『ネットで見掛けたアレが欲しかったから名前を確認して買ったのに期待していた植物ではなかった』


恐らく誰もが経験があるのではないかと思います。
これらの問題は名前が統一されていないことがその原因です。
こういったガッカリで不利益な現象を防止する為に必要な作業と資料なのです。


『ああ呼ぶということもあるし、こう呼ぶこともある』
『名前が違うんだから別物だよ』


というような説明を受けたことがある人もいると思いますが、これはキッパリ言ってしまえば方便(誤謬・詭弁)の類いです。


『よく確認せずに既に命名済みのものに別名を付けた』
 ⇒ (2重命名/同物異名/synonym)
『よく確認せずに同じ名前を使った』
 ⇒ (重複名/異物同名/homonym)


実際はこうであるケースが殆どです。


もちろんその確認をするには各所で発表なりされて散り散りになっている膨大な資料を参照しながら名前を決めなければいけなかったのも事実です。
しかし、これからは品種名総覧を元に品種名を考案すれば安易な重複名のようなケースは避けられると思います。


【2重命名/同物異名/synonym】も別表になって掲載されているのでダブり買い防止や手持ちの植物のラベル整理の役に立つと思います。
「アレとアレは名前以外に何が違うのか分からん!」「どっちが正しい名前なのか分からん!」「水晶だらけよく分からん!」みたいな疑問が解決していくのはなかなか面白いです。
「アレとアレ同じ植物だったんかい」っていうのもいっぱい見つかったり。
備考コメント欄や育成者と命名者も付記されていてこれも面白いですね。
「あ、そうだったの」みたいな発見がたくさん。
誰が使いだした名前なのかわかるようになっているのは情報面でも、責任的な面でも良いことだと思います。


食品偽装の件でもそうですが、「本質的に消費者には正しい名前で購入する権利」があるということです。
裏を返せば「売る側には正しい名前で売る義務」があるということでもあります。
スーパーで売ってる魚を学名で表示されても何だか分かりませんが、植物に関しては「学名と品種名がコレクターズアイテムとして相応の格式を備えた正しい名前」です。

食品偽装問題も「代用魚と偽装魚」の違いとか「優良誤認」とか色々参考になりそうなので気が向いたら調べてみようかなと。
『豆苗販売の「情報の非対称性」』についても考えたいところです。


続く。

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