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‘Romeo’と品種としてのエケベリア
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Echeveria agavoides ‘Romeo’




3週間ほど前、なんかテキトーなエケベリアでもないかなーと散歩がてら花屋に行きましたらブーケに紛れて切り苗の ‘Romeo’ が!
勿体ない使い方するんやねー・・・と思ったらなんかチラホラ置いてある。
しかも値札が「ブーケ」じゃなくて「エケベリア」になってる、しかも安い!
最近は相場も落ち着いてますがなかなかの価格破壊です。
今回は外野自由席より安いです。
というワケで花芽もあるんで思わず買ってしまいました。
なお花芽はそのまま立ち枯れしてきた模様。

実生繁殖の個体もちょいちょい売ってるので細長いのとか色々ありますが、これはダルマ葉で好みのクローン。
やったぜ。

そういえばオランダから色々とボンボン来ているらしいとは知っていましたがあっさり出会えました。
‘Romeo’ はエケベリア好きの中ではまだそこそこレアで流通量もそこまででもないのに、最近どうも「多肉に強い花屋さんで ‘Romeo’ を買っている人がやたら多い」気がしたんですがこの辺にカラクリがあるようです。
この辺りの事情は結構調べてみたので近日中に。



Echeveria agavoides ‘Romeo’
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=10122&x270_id=2456

全体が赤く染まるとかいう革命的な優良品種です。
ついでにちょっと前は見なかったダルマシルエットまで!


Echeveria "Taurus"
http://crassulaceae.ch/index.php?TPL=113&x270_id=2463&x270_listsearch=1


Illegal nursery name for Echeveria agavoides ‘Romeo', seeds sold by Gerhard Koehres nursery, Germany, under this name. And not only illegal, it also wrongly suggests that this plant is a hybrid while it is simply a mutation of the specie.



トーラス、タウラス、タウルスとかその辺は英語読みラテン語読みチャンポン読みかの違いです。
他にも"レッドエボニー" とか"パープルエボニー" "レッドナンタラ" とか取ってつけたような商品名がアホほどあります。
個体差で収集するなら意味はありますが、ラベル違いで収集する意味はありません。
この辺の名前で画像検索でもしてみれば分かると思います。
‘Romeo’ という品種名が発表される前に種子などがそこそこ流通したのと、 ‘Ebony’ が一足先に知名度を上げていた記憶があるのでその辺に便乗した商品名ではないかと思います。
黒檀(エボニー)色でもなく赤いのにトンチンカンな名前をつけられているのはたぶんこのせい。

「品種としての属性(判別文の内容)」としては「全体がピンク〜赤紫に染まる E. agavoides 」と予想出来ますので、「巾広なのが ‘Romeo’」 で、「細長いのが "トーラス" や "レッドエボニー"」とかそういうことではないはずです。
簡単に言えば「E. agavoides の全体的に赤いのは全部 ‘Romeo’ 」。
もちろんダルマ葉のと細長いのではだいぶ観賞価値も違うのでそれらを区別するようの名前があっても良い気がしますが、"レッドエボニー" や他の商品名に具体的な規定(判別文)がなく、その名前の使われ方に一貫性が持たせられない以上は無効な異名ないし商品名という判断をするしかないでしょう。

ちょっと前は種子を輸入して実生するか、輸入された苗か国内で実生された苗を買うかしかなく、実生の小苗ならばそれほど高くはありませんでしたが輸入の中苗以上は結構お高かったです。
特にこのオランダルートのはダルマ型ですこぶる良好な個体が多いようです。
組織培養で工場生産品のようなので品質は高レベルで安定している雰囲気ですので、個人的には実生苗で買うよりオススメな気がします。
(露骨に規格から外れた個体は検品で弾かれるはず)


そんなこんなで ‘Ebony’ や ‘Romeo’ が発表・流通しだしたことで「アガボイデスというジャンル」として(ハオルシアでいうとこのピクタや万象みたいな感じ)盛り上がり、ガンガン実生されまくったので全体としての個体のレベルは飛躍的に上がりました。
一方でブームが加熱するにつれて各所から基準が不明なまま「ナントカエボニー」「ナンタラシリウス」「レッドナンタラ」等々と称して販売される苗が溢れ返り、品種名としてはもうワケわかりません。
エケベリア全体に言えることですが、とくに最近の E. agavoides 関係の品種は場当たり的に命名された商品名が多過ぎて、ラベルだけを見て買うとおかしなことになると思います。
購入するにしてもまずは個体そのものを見て収集し、その後ゆっくりと発表状況や名前の使われ方を様子見するしかないと思います。

ラベルを頼りに目新しさで購入の判断をするのは本来間違っているというワケでもなく、そもそも本来ラベルというのはその為にあるんですから乱発している側にその責があるのではないでしょうか。



そのうち E. colorata 等の血が入った2代目の交雑品種など、判別も難しい個体が急増してくると思います。
割りと近いうちに「原種そのもの」というのは影の薄い存在になるような予感もします。
以前は何か寂しい気もしていましたが園芸や品種改良とはそういうことだと納得出来たので今は特にどうということもなく。
恐らく多肉植物というのは園芸・農産物的な歴史が浅く現地環境に適応した特異な形態そのもの魅力を感じる方が多いことや、品種として優良な個体や型が野性下に近いところにも存在すること、品種改良の方向性としても野生型の延長・発展的な形態を追っている面が強いことなどから「原種信仰」が強いのだと思いますが、そもそも「原種」と言っても遺伝的に攪拌が不十分で部分的である故の多型で、採取される時点で園芸的に優良そうな個体が優先的に選ばれえる傾向にあったりもするので「分類群という単位での種」としては無理があると言えば無理がある・・・という具合です。
それでもまあ数十年後も「雑交配だ!」とか「種としての保存が!」と説く人と、「原種回帰!」な人が居たり居なかったりの繰り返しじゃないかと思いますが、園芸である以上は分類学上の種という区切りよりも品種という区切りで見るべき段階がゆったり近づいている状態だと思います。
とは言っても園芸界には無い斬新な形態の新種が発見されたりもするので、記載文献をカタログ替わりに参照しながら収集するのもまだまだ楽しめそうではありますが。
‘Romeo’ のような交雑品種でない個体なら自家授粉からの実生で後代への再現性が高いのもポイントと言えます。

ある意味過渡期なので表記的にはちょっと難しい段階にあると思います。
海外の論調だと「交雑していると疑わしいものは学名では呼ばず、園芸上の植物として品種名を与える」というのが一般的で、規約的にも当然と言えば当然みたいな面が強いです。
一方で国内の識者の方からは「そもそも何故あれだけ種内での変異が激しく多様な型が存在するのかというと、遺伝的攪拌が不十分で、原種と言っても多肉くらいの植物は全部がまだ雑種みたいなところもあるし、園芸上で使う学名はもっと緩く便利に使っても良いのでは?(学問としてはまた別)」というアドバイスも戴きました。
ベンケイソウ科に関しては ICN がしがらみもなくバッサリ整理していってくれているのでしばらくはこれに追従していけば良いかなと思います。
ちなみにハオルシアでは「原種っぽい見た目だけど交雑している個体」というのは「擬野生」という呼び方、というか概念をするようです。
野生型の発展的な形態を育種目標に据えている多肉ならでは(たぶん)の概念として把握しておくと色々と理解しやすいと思います。

擬野生という概念を提案して戴いて苦悩しているときの雑感
http://1911.seesaa.net/article/365333091.html
http://1911.seesaa.net/article/371060600.html
試料性・試料株という概念と呼び方は個人的には結構良い感じだと思ったんですが流行らん模様。


1/18 アルファロメオ ティーポ33/2 ストラダーレ プロトタイプ 1967 (レッド)
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